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2025.04.21

若年の方も大腸ポリープや大腸がんにご注意を

 40歳ぐらいから大腸がんが増えてくることから、当院待合室にも「40歳を過ぎたら大腸内視鏡を受けましょう!」といった内容のポスターも貼らせていただいています。

 普段、若い方から高齢の方まで幅広い年齢の方に大腸内視鏡検査を施行させていただいていますが、最近よく思うのは、「30歳台の方でも意外にポリープある人多いなあ」ということです。冬場の患者さまが多い時期が一息ついてきたこともあり、ようやく最近になり昨年7月から12月の期間で大腸内視鏡検査を行った30歳から40歳までの36人の方の内視鏡所見について調べてみました。するとちょうど50%、18人の方にポリープ切除を行っていました。大腸がんの過半数は管状腺腫や鋸歯状病変といったポリープから発生してきます。上記18人のうち2人の方は大腸がんのリスクと直接関係のない若年性ポリープという種類のポリープでしたが、残りの16人は管状腺腫または鋸歯状病変(過形成性ポリープは含まない)でした。多くは1cm未満のポリープでしたが、この割合は当院における中高年の方からは若干下回るものの遜色のない高い割合でした。近年の内視鏡画像の進歩、丁寧な観察が寄与していると考えますが、30歳台でも侮ってはいけないと改めて感じています。

 近年、世界で50歳以下の若年発症大腸がんが増加傾向にあると報告されています。これまでは主に高所得の西側諸国での増加が確認されていましたが、2008年からの10年間では調査された50か国中27か国で増加しており、世界中のさまざまな経済状況の国や地域で若年発症大腸がんの増加傾向が認められています。若年発症の大腸がんが増えている国の中で、高齢発症の大腸がんが増えている国もあれば減っている国もありますが、日本では若年発症の大腸がんも高齢発症の大腸がんも増えていて、若年発症の大腸がんのほうがより増加しているようです。

 ではどのような症状・兆候があると大腸がんの存在を疑うべきなのでしょうか? 50歳未満の大腸がんの初期症状として主なものは腹痛、直腸からの出血(血便)、次いで下痢、鉄欠乏性貧血が挙げられています。これらはひとつだけでもあれば危険因子になりますが、これら4つを多く有するほど大腸がんが存在する恐れが高くなることが報告されています。また排便状況の変化(便秘・下痢)や体重減少なども大腸がんを示唆する場合があります。もちろん血便の原因が痔核、肛門出血の場合もありますし、若い女性ですと鉄欠乏性貧血の原因は月経による定期的な出血であることも多いです。20歳ぐらいの方で鮮血の少量の血液付着のみ認めて心配されすぐに受診いただいた場合少し経過をみていただいたり、大腸内視鏡検査を希望されない場合や痔の状態を知りたいという場合は肛門鏡のある肛門科で先に一度診察される選択肢をお話させていただくことがあります。若い女性で鉄欠乏性貧血の場合、ほかに症状がなく大腸内視鏡検査を希望されない場合は便潜血検査をいったん施行していただく場合もあります。しかし大腸内視鏡検査は希望しない、でも「心配な病気はない」という言葉を求めて受診される方には、実際には大腸内視鏡検査を行わないと正確な原因は分からないので「100%大丈夫とは断言はできません」とお話しています。適切な観察であることが条件ですが内視鏡検査を一度行うことが大腸がんのリスクを低下させることも確かです。

 30歳を超えたら、何か気になる症状があったりその頻度や程度が増す時には、これまであまり検査をしたことがなかったり、前回検査からの間隔が開いている場合は、検査をご検討いただければと思います。

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