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2025.09.03

新しいワクチンについて

 きのしたクリニックでは内科・消化器内科の診察や内視鏡検査などとともに、各種ワクチン接種を行っています(予防接種・渡航ワクチンを受けるなら|阪神御影駅前のきのしたクリニック)。

 今回は最近発売され接種可能となったワクチンについて触れてみたいと思います。

 

RSウイルスワクチン(アレックスビー)

 RSウイルス感染症はごく一般的な感染症で人から人に飛沫感染や接触感染で鼻や口から入り込み上気道から肺に感染します。2歳までにほぼ100%感染し、乳幼児の初感染で症状が重くなることがあります。成人になっても繰り返し感染し、45日の潜伏期間の後、一般的には発熱・鼻汁・咳などを発症し軽症で回復しますが、高齢者や慢性の基礎疾患(喘息・慢性閉塞性肺疾患・心疾患など)・免疫力が低下している人では気管支炎・肺炎重症化し入院リスクが高いことが知られています。

 RSウイルス感染症には、インフルエンザウイルス感染症のような直接的な治療薬がありません。マスク・手洗いなどの基本的な予防策が必要です。60歳以上の方にはワクチンによる予防接種が可能です。高齢者、とりわけ基礎疾患のある方でRSウイルス感染症の予防や特に重症化のリスクを下げる働きがあります(1/5程度までリスクを減らすことが分かっています)。RSウイルス流行期2シーズンにわたり有効性が持続するとされています。

・対象者:60歳以上の成人

・接種回数・方法:1回・筋肉内注射

 当院ではアレックスビーを取り扱っていますが、妊婦も対象とするアブリスボというワクチンもあります。

 

◎ダニ媒介性脳炎ワクチン(タイコバック)

 ダニ媒介脳炎(tick-borne encephalitis: TBE)はTBEウイルスを有するマダニに咬まれることにより感染します。野外のリクリエーション(魚釣り、キャンプ、山菜採りなど)・仕事(林業・農業など)で感染するリスクがあります。7098%は症状が出現せずに経過します。ウイルスにはヨーロッパ型・極東型・シベリア型があり、日本(主に北海道で2024年までに7例報告されています)・中国・ロシア極東市域に多い極東型では714日の潜伏期間後に頭痛・発熱・悪心・嘔吐で発症し、進行すると精神錯乱・昏睡・痙攣・麻痺などの脳炎症状があらわれ、致死率は20%以上、生存者の3040%に後遺症が残ります。

なお他にマダニが媒介する疾患として最近致死率が高く問題となっている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱・ツツガムシ病などがありますが、対象となるウイルスが異なるため、SFTSなどの予防にこのワクチンを用いることはできません。

 感染した場合の抗ウイルス治療はなく、対症療法が中心となりますので、ワクチン接種による予防が望まれます。

・対象者:TBEリスク地域でリクリエーションや仕事など野外活動される方など(北海道、ヨーロッパ、ロシアや旧ソビエト連邦地域、中国・韓国・モンゴル、チュニジア)

・接種回数・方法:3回(2回目13ヶ月後、3回目512ヶ月後)・筋肉内注射

 

◎腸チフスワクチン(タイフィムブイアイ)

 腸チフスは、サルモネラ属のチフス菌により引き起こされる全身性の感染症です。一般に食中毒などでみられるサルモネラ感染症です。

 通常1014日の潜伏期間をおいて、持続する発熱が主な症状で、ほかに下痢、発疹、肝臓・脾臓の腫大、意識障害、徐脈、腸出血・腸穿孔などをきたします。

 流行地は日本を除く東アジア・東南アジア、インド亜大陸、中東、東欧、中南米、アフリカなど広く、特に途上国でみられ、日本の発症例は主に海外で感染し帰国後に発症した感染例です。流行地では加熱不十分な食事は避けて、飲料水を煮沸する、飲食店・屋台での食事を避けるなどの予防が必要です。治療は抗菌薬の投与が行われますが、薬が効かない耐性菌が増加しています。

 流行地、特にインド・パキスタン・バングラディッシュをはじめとしたアジア地域への渡航者に腸チフスワクチンの接種が推奨されます。初回接種後3年に追加接種を行うことが推奨されています。

 これまで腸チフスワクチンは海外からの輸入ワクチンしかありませんでしたが、日本でも製造・販売されるようになり20256月より接種が可能となりました。

・接種回数・方法:1回・筋肉内注射

 

 腸チフスなどの感染が疑われる場合など当院受診のご相談を受けますが、基本的に細菌検査などを適切に行える総合病院の感染症内科などへの受診を推奨・案内しています。当院には予防目的でのワクチン接種についてご相談いただければ幸いです。

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